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2025年度 コラム 人事革新コース

地方創生の現場で、人事の役割を問い直す――人事革新コース 淡路島視察合宿レポート

「地方創生」は、人事のテーマになり得るのか
――淡路島視察合宿で考えた、“幸せに働く”という問い

「企業は、社会課題の解決にどこまで関われるのか」
「人事は、“働く”をどこまで設計できるのか」

2025年11月、人事革新コースでは、兵庫県・淡路島を舞台にした地方創生視察合宿を実施しました。

今回のテーマは、“企業における社会貢献・社会課題の解決と人事戦略の融合”。

視察先となったのは、地方創生を事業として展開するパソナグループの取り組みです。ニジゲンノモリ、インターナショナルスクール、廃校活用施設、農家レストランなどを巡りながら、地域活性化と事業化、新たな働き方への挑戦を体感しました。

 

 

「人を活かす」を、事業として実装する

セミナーでは、パソナグループが掲げる理念「社会の問題点を解決する」「人を活かす」のもと、淡路島で進める地方創生事業について説明を受けました。

特に印象的だったのは、地方創生をCSRではなく、“事業”として成立させようとしている点です。

観光、教育、食、文化、健康、仕事――。
淡路島では、「わくわく・遊び」「ぱくぱく・美食」「すくすく・教育」など7つのテーマを軸に、多面的な施設開発が進められていました。

また、2020年に実施された本社機能の一部移転では、人事・総務・経営企画などの部門を含む約1,300人が対象となり、「真に豊かな働き方・生き方の実現」を掲げた新たな働き方への挑戦が進められています。

単なるオフィス移転ではなく、“どのような環境で、人はよりよく働けるのか”を問い直す取り組みとして、多くの参加者の関心を集めました。

 

視察で見えた、「理念が空間に浸透する」ということ

今回の合宿では、施設見学だけでなく、現地で働く人々や空間そのものから、多くの示唆を得ることができました。

例えば、廃校を活用した「のじまスコーラ」では、地域資源を新たな価値へ転換する発想に触れることができました。

また、自然栽培にこだわる広大な農園横の地産地消レストランで淡路島の豊かな食材を味わいながら、地方創生における「食」の重要性を実感しました。

他にも、社内インターナショナルスクールでは質の高い教育が施されていましたが、外国籍・日本籍を問わず淡路島に移住した社員の子であれば希望者全員が通うことができるようになっていることや、レストランやショー、農業を含め、淡路島のすべての事業に携わる人材を「社員」として雇用していることからも、多くの人に淡路島に移住して地方創生とその事業を支えてほしいというパソナグループの理念を感じ取ることができました。

参加者からは、

「事業として地方創生に取り組む姿勢が明確」
「外国人を含めた多様な人材が自然に溶け込んでいる」
「理念が施設や運営にまで浸透している」

といった声が挙がる一方で、

「地域コミュニティとの関係性はどう築いているのか」
「他地域へ横展開できるモデルなのか」

など、理想だけではない現実的な問いも共有されました。

単なる“成功事例視察”で終わらず、参加者自身が自社や自組織に引き寄せて考える時間になったことも、この合宿の大きな特徴でした。

【のじまスコーラ】
廃校になった小学校を再生し、「食・農・学・芸」をキーワードに2012年にオープン。
地域活性の情報発信基地として、また地域の交流の場として、様々なイベントを開催。

 

「幸せに働く」とは何か

2日目は、「ワールドカフェ」形式によるワークショップを実施しました。

テーマのひとつは、「幸せに働くために大切にしたいこと」。

議論では、「仕事を人生の中心に置くのではなく、自分の人生の中にどう位置づけるかが重要ではないか」という意見が出る一方、「“幸せに働く”という問い自体が、人事の押し付けになり得るのではないか」という問題提起もありました。

また、「働く意味はキャリア段階によって変化する」という視点や、「個々の価値観を尊重しながら方向性を示すことこそ、人事の役割ではないか」という整理もなされました。

人事の仕事に“正解”はありません。
だからこそ、多様な立場・経験を持つ参加者同士が率直に対話することで、自分ひとりでは辿り着けない視点に触れられる――。

その価値が、今回のワークショップを通じて改めて浮かび上がりました。

 

「人事」が、社会とどう向き合うか

合宿の総括では、「企業が社会的存在である以上、社会的要請にどう応えるかを考え続ける必要がある」という提起がありました。

人的資本経営、Well-being、多様性、地域との共生。
人事を取り巻くテーマは、年々広がり続けています。

その中で求められるのは、制度設計や運用だけではなく、「自社は、どのような価値を社会に提供する存在なのか」を問い続ける視点にあるのではないでしょうか。

今回の淡路島合宿は、地方創生を学ぶ場であると同時に、“これからの人事の役割”を考える場でもありました。

人事革新コースでは、講義だけでなく、このような実地視察や対話型ワークショップを通じて、参加者同士が価値観をぶつけ合いながら学びを深めています。

組織と社会、人と働き方の未来を考える――。
その問いに向き合う時間そのものが、本コースの大きな価値の一つです。

 

人事革新コースについて

人事革新コースでは、講義に加え、グループ研究や企業視察、対話型ワークショップなどを通じて、「人と組織の本質」に向き合う学びの場を提供しています。

人事革新コース 詳細はこちら

※本記事は、2025年11月実施の「淡路島地方創生視察合宿」の内容をもとに構成しています。
※2026年度の人事革新コースでも、視察型ワークショップを実施予定です。

 

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